北澤美術館 新館のホームページはリニューアルしました。
5秒後に自動的にジャンプします。
(自動でジャンプしない場合はこちらをクリックしてください。)


北澤美術館 新館は、さまざまな企画展を開催する場としてガラス工芸のみならず、陶磁器、木工、漆芸、金工など工芸全般を対象とする展覧会の開催も視野に入れた多角的な展示活動を展開して行きます
ガレ、ドーム、ラリックの三大ブランドを擁する世界最大のアール・ヌーヴォー/アール・デコ・ガラス工芸コレクション1000余点の中から、そのつど作品を選んでテーマ性を持たせた企画展示にもご期待ください。





1893年〜1894年
高さ10.5cm×直径9.5cm 

 露仏同盟締結に際してフランスを訪れたロシア代表団、特にロシア艦隊に対する公式歓迎行事の記念品として製造された酒杯です。透明地をエッチングで削ってロレーヌ十字や渦巻を陽刻し、双頭の鷲(帝政ロシアの紋章)、薊、ロレーヌ十字、ロレーヌの鷲(ロレーヌ地方のシンボル)、船の錨などをエナメルと金彩で描いています。薊の花に寄せてエナメル彩で銘文「私に触れれば刺されるだろう」を書き添え、脚台のステムにエッチングで「言うよりももっと考える」と刻んでいます。

これらは普仏戦争の敗北によってアルザス・ロレーヌ地方をプロシアに割譲したフランス側の国民感情をいい表わす慣用句「いつもそれを考える、決して口には出さないが」を踏まえた言葉で、露仏同盟のみならず旧フランス領のアルザス・ロレーヌ地方に関連させた内容となっています。ちなみに、露仏同盟は1891〜92年に外交交渉が行われ、1893〜94年に軍事協定が結ばれました。

日用雑器の生産メーカーであったドーム社が芸術的なガラス器製造の分野に参入したのは1891年でした。初期の製品は、この作例のように透明ガラス素地をエッチングで彫刻し、エナメル彩色で絵付けしたものが中心になっています。それらの中では、ロレーヌ人のドイツに対する屈辱と報復の感情を喚起する象徴性を帯びた文様、すなわちロレーヌ十字やアザミ(ナンシー市の紋章)、鷲(ロレーヌ公の紋章)、ロレーヌ公ルネ2世、ジャンヌ・ダルク、ドンレミにある彼女の家などを描いた製品群が注目できます。いずれも、敗戦後にドイツ領となった故郷のビッチを追われてナンシーに移住し、不慣れなガラスメーカーに転身したドーム家の人々の思いが感じられるものといえるでしょう。



Gallee
1902〜04
W32.8 × W9

透明ガラスにサリッシュールの入ったピンクと肌色を被せ、紅、黄、白を練り合わせたアプリカッシオンの薔薇の蕾と葉を熔着、細部をグラヴェールで削っている。葉の部分はエッチングによる彫刻で輪郭を起こしてから再度全体にグラヴェールをかけている。
園芸種特有の濃厚な表情に世紀末の憂愁を託したガレの代表作。当時のフランスは薔薇の品種改良で他国をリードしていた。


透明地にオレンジ、ベージュ、緑を重ねた4層被せガラス。4枚の花弁をもった花の形に造形しグラヴェールで繊細な彫刻を施している。魚と水藻を表現したブロンズ製の台を装着している。台石は緑色大理石、底板は真鍮製。点灯するとオレンジ色の光で包まれ妖艶な雰囲気を醸し出すランプである。


透明地に白色を混入した素地に紫を重ねてカメオ彫りしたランプ。葉はエッチング、花はグラヴュールで彫刻している。頂部にマルトレ(槌目文様)を入れている。
紫と白を練り込んだ透明地をエッチングで削り、エナメルと金彩で菫を書いている。同じ装飾の花器もある。


透明地に黄とオレンジを重ねエッチングでひなげしを刻む。ひなげしの花は朱のエナメル、茎や葉は黒のエナメルで彩色し、瓶(カラッフ)やグラスの口には金彩の縁取りがある。


ピンクと緑のガラス粉を練り込んだ透明地にエッチングでシヴレを入れ、矢車草などの草花の輪郭を彫刻、多色エナメルで花文を描いたもの。
透明地に黄と赤を被せた3層被せガラス。エッチングで大聖堂がそびえる風景を彫刻している。



Copyright (C) 2000 SUWA GARASUNOSATO. All Rights Reserved.